
ミスワリンの
有性生殖プロジェクト
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サンゴの繁殖方法
サンゴは無性生殖と有性生殖の2つの方法で繁殖します。
無性生殖は、サンゴが分裂することによって増殖する方法です。
台風などの影響で折れた破片が岩などに固着し、同じ遺伝子の新しい群体として成長します。
一方、有性生殖は、特定の時期になるとサンゴが一斉に産卵し、受精卵から新しい個体として成長します。
この方法によって遺伝子に多様性が生まれ、環境の変化に対して生き残る可能性が高くなると言われています。 -
サンゴの産卵
サンゴが大きく成長するためには、さまざまなハードルを乗り越える必要があります。
その1つが産卵です。種類によって仕組みはさまざまですが、ワリンの森で育てているウスエダミドリイシという種類の場合、毎年5月から6月の満月や新月の前後に、複数の群体が一斉に産卵します。
しかし、その直後に多くの卵が魚やプランクトンに食べられてしまうなど、サンゴが成長する確率はとても低いのです。そこで、ワリンの森では有性生殖を人工的に行い、生存率を上げるお手伝いをしています。 -
バンドルコレクターで
卵を回収ゆらゆら浮遊するサンゴの卵を集めるのは難しいため、「バンドルコレクター」を使用します。
サンゴの卵を回収するこの装置は、澪花さんの手作り。
産卵しそうなサンゴの群体にかぶせて、波やうねりで外れないように岩盤に固定します。
そして産卵が始まると、バンドルコレクター上部のカプセルに卵が集まる仕組みとなっています。 -
受精は時間とのたたかい
サンゴが成長するための2つめのハードルは受精。
タイムリミットとのたたかいです!産卵から時間が経ちすぎると受精が難しくなるため、
回収した卵を急いで運び、水槽に移します。
サンゴの卵は「バンドル」と呼ばれ、精子と卵子がセットになったカプセルのようなもの。
水槽内に刺激を与えて受精を促すことで、やがて別の精子と卵子が結合し、ハート型になると受精成功です。 -
元気なサンゴを
育てるために受精に成功すると、サンゴの幼生(プラヌラ)に変化します。プラヌラがプレートに着底すると、
そこから日ごとに色や形が変化していき、骨格を作りながら成長します。
受精から約2週間後、赤ちゃんサンゴに成長すると、海中の育成用プールに移され新生活が始まります。
ここから新たな生存競争が待ち受けていますが、多くの困難を乗り越えながら成長し、やがて繁栄していきます。